株式会社テスト
代表取締役 テスト 太郎

解体業を“開発の第一走者”へ。次代を担うアトツギ経営者に聞く
――まず、御社の事業の本質をどう捉えていますか。
「解体は、開発の第一走者です。」
そう語ると、彼は静かに続けた。
「壊すことが目的ではありません。
新しい価値を生み出す“スタートライン”をつくる仕事です。
街は解体から始まる。その責任と誇りを常に意識しています。」
――異業種から家業に戻られたと伺いました。
「私は昭和63年生まれで、今年36歳です。祖父が個人事業として立ち上げ、父が法人化して34期を迎えました。」
大学は近畿大学薬学部。父と祖父が病気で苦しむ姿を見て、医療で役に立ちたいと製薬の道へ。アステラス製薬で東大附属病院を担当し、エース営業として順調なキャリアを歩んでいた。
「ただ、父が亡くなった時、腹が決まりました。会社を残す使命が自分にある、と。」
輝かしい出世ルートを手放し、奈良へ戻る決断をした。
――代表就任後、どのような苦労がありましたか。
「正直、現場も顧客もすべて把握する前に就任しました。」
東京の洗練された環境から、泥にまみれる現場へ。
全く異なる世界で、彼は迷いながらも確信を得ていく。
「建設現場の“泥臭さ”には、本物の誇りがあります。
人が汗をかき、命を預け合いながら未来をつくる。
その尊さに出会えたことが、僕にとってターニングポイントでした。」
――経営で大切にされている価値観を教えてください。
「解体は壊す仕事ではなく、未来を準備する仕事です。」
言葉には揺るぎない軸がある。
「社員や職人には、『オクダでよかった』と思ってほしいんです。
安全、信頼、誇り。
この3つが揺らがなければ、いい現場になります。」
さらに、大手企業時代の経験を活かし評価制度や人事制度に改革も進めている。
「仕組みが整えば、建設業界の働き方はもっと良くできるはずです。」
――今後の展望は。
「5年後にはグループで売上40億円から50億円を目指します。」
若手採用にも力を入れる。
新卒を毎年受け入れ、20〜30代の比率を高める方針だ。
「地元奈良をもっと盛り上げたい。
大げさに“地方創生”とは言いません。
ただ、僕らが関わる街を、少しでも良くしたい。」
地元イベントや奈良クラブのスポンサー活動もその一環だ。
――最後に、次代の経営者へメッセージを。
「アトツギに必要なのは、攻めと同時に“守る覚悟”です。
ついてきてくれる人の未来を守る。その責任は重い。」
そして、締めくくるように言った。
「壊すことで、未来をつくる。
“オクダでよかった”と誰もが言える会社にします。」

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